断酒を続ける中で、ホアキン・フェニックス主演の映画『ドント・ウォーリー』に出会いました。
観ている最中から「これは他人事じゃない」と胸に突き刺さるシーンが何度もあり、まるで自分の過去を見せられているような作品。
映画『ドント・ウォーリー』とは
2018年に公開された映画『ドント・ウォーリー(Don’t Worry, He Won’t Get Far on Foot)』は、風刺漫画家ジョン・キャラハンの実話をもとにした作品です。
主演はホアキン・フェニックス。
交通事故で車椅子生活を余儀なくされながらも、アルコール依存症と向き合い、自分の人生を再構築していく姿を描いたヒューマンドラマです。
この映画は単なる「依存症者の物語」ではなく、依存の苦しみ、断酒の難しさ、そして再生の可能性をリアルに突きつけてきます。
依存症経験のある僕にとって、まるで自分自身を映し出すようなシーンがいくつもあり、胸に突き刺さる作品でした。
僕自身もアルコール依存症だった
僕もアルコール依存症者でした。
飲酒が当たり前になっていた時期があり、酒をやめたくてもやめられない自分との闘いが続いていました。
酔いで誤魔化した時間、翌日の後悔、繰り返す二日酔い。
気付けば、酒が生活の中心になっていました。
この映画を観て「これは他人事ではない」と痛感し、依存症は決して特別な人だけの問題ではなく、誰にでも起こり得る身近な問題だと改めて気付かされました。
胸に突き刺さったシーン
『ドント・ウォーリー』の中で特に印象的だったのは、主人公がミーティングの場で自分の弱さをさらけ出し、初めて他人と本音で向き合うシーンです。
依存症は孤独を生みます。
しかし、断酒の過程で必要なのは「孤独を破る勇気」だと僕は感じました。
僕自身も酒をやめることで、初めて「家族や仲間と素直に向き合える時間」を手に入れました。
アルコールに縛られていた時には気づけなかった、人との関わりの大切さを、この映画と自分の経験を通して学んだのです。
それからもう一つ、心に突き刺さった痛いシーンは、ホアキンが隠れて強い酒を飲むシーンです。事故を起こす前、パーティに参加してビールでは中々、酔えないから物足りず、トイレでこっそり強い酒を飲むのです。
ここのシーンは、何とも言えない胸にグサッと来るものがありました。
ドント・ウォーリーから学ぶアルコール依存の怖さ
アルコール依存の怖さは、単に「飲みすぎて健康を害する」ことだけではありません。
もっと恐ろしいのは、自分の意思ではコントロールできなくなること。
気付けば「今日も飲んでしまった」「やめたいのにやめられない」と、自分の人生の主導権を完全に奪われてしまう事です。
僕自身も、まさにその恐怖を体験しました。
酔いの中で現実から逃げ続けた日々は、振り返れば自分を蝕む時間でしかなかった。
映画を観て強く共感したのは、依存症がもたらすのは「肉体的なダメージ」だけでなく、「人間としての尊厳」をも奪うという事です。
『ドント・ウォーリー』は、依存症がいかに人を孤独にし、人生を狂わせるかを静かに、しかし強烈に突きつけてきます。
そして同時に、断酒によって再び人生を取り戻せるという希望も描いています。
この映画が断酒のキッカケではないけれど
誤解のないように言うと、僕が断酒を決意した直接の理由は映画ではありません。

しかし『ドント・ウォーリー』を観て、改めて「断酒して本当に良かった」と心から思いました。
- 健康になれる。
- 家族と心から笑い合える。
- お金と時間を無駄にしない。
こんな事当たり前なんです。
でもアルコール依存者にとっては、これは当たり前じゃない。
断酒すればシラフでいる事が当たり前の生活に戻る事ができる。
これは、断酒した人だけが味わえる最高のご褒美です。
断酒は「一生の覚悟」
映画の主人公のように、僕ももう二度と酒に頼らない人生を選びました。
依存症者にとって「一杯だけ」は存在しません。
だからこそ、僕は一生断酒を続ける覚悟を持っています。
アルコールは、飲んでいる時は友達のように寄り添ってくれますが、飲み方によっては人生を奪う敵です。
そのことを忘れず、僕はこれからも酒なしの人生を歩んでいきます。
『ドント・ウォーリー』は「学びの映画」
この映画は決して娯楽作品だけではなく、社会全体に「アルコール問題」を問いかける作品です。
依存症は珍しい病気ではなく、静かに広がる現代の大きな問題。
もしあなたが酒との付き合いに不安を感じているなら、ぜひ一度この映画を観てみてください。
きっと「自分の生き方を見直すヒント」を与えてくれるはずです。
まとめ
ホアキン・フェニックス主演の『ドント・ウォーリー』は、アルコール依存症と断酒を考える上で、僕にとっても大きな気づきを与えてくれた映画でした。
僕自身の断酒経験と重ね合わせることで、この映画がいかにリアルで、そして普遍的なテーマを持っているかを痛感しました。
これからも酒に頼らず、自分らしい人生を家族と共に歩んでいきます。
そして、この映画のように「断酒の先にある希望」を、同じように悩む誰かに伝えていければと思います。