ヴィンテージTシャツを集めていると、同じHanesブランドでも「BEEFY-T」や「Fifty-Fifty」など異なるタグに出会います。
どちらも80〜90年代前後に製造されたものなのに、なぜ素材や仕様が違うのでしょうか?
この記事では、Hanesの歴史を踏まえながら、その理由と古着としての価値を深掘りします。
Hanes Tシャツの歴史と進化

Hanes(ヘインズ)は1901年創業のアメリカを代表するアンダーウェア&カジュアルウェアメーカー。
Tシャツ市場に本格参入したのは1970年代で、以降さまざまなモデルを展開してきました。
- 1970年代初頭:無地Tシャツ市場が拡大、Hanesはイベント・プロモーション用のベースボディ供給を開始。
- 1975年:「BEEFY-T」誕生。厚手で耐久性の高い100%コットンTシャツとして人気に。
- 1970年代後半:「Fifty-Fifty」シリーズ登場。ポリエステル混紡で軽量かつ速乾性のあるモデル。
- 1980〜90年代:スクリーンプリントブームと共に、ロックT、キャラT、企業TのボディとしてHanesが定番化。
同年代でもタグが違う理由

- BEEFY-T:100%コットン。厚手でタフ、着るほどに目が詰まり、経年で独特の風合いが出る。
- Fifty-Fifty:50%コットン+50%ポリエステル。軽く柔らかく、縮みにくい。発色が良く、シワになりにくい。
- BEEFY-Tはワーク用や長期使用前提の販促品、バンドマーチなどハードユース向け。
- Fifty-Fiftyはイベントやファッション向けで着心地や軽さ重視。
- 80年代後半になると「FABRIC MADE IN U.S.A / SEWN IN JAMAICA」など、コスト削減のために縫製のみ海外で行うケースが増加。
- タグの表記はその生産背景を反映しているため、同年代でも「USA製」や「USA生地×海外縫製」が混在。
古着市場での価値
BEEFY-T(USA製)

- 無地でも価値が高い。
- 厚手ゆえにプリントのノリが良く、バンドTや企業Tのオリジナルボディとして人気。
- 状態良好な80〜90年代USA製は希少価値大。
ヴィンテージ市場では、この「FABRIC & SEWN IN U.S.A」タグ付きは最も価値が高いランクに位置づけられます。
無地の白Tでもコレクターに人気があり、デザイン入りや希少なカラー物になるとプレミア価格になることも珍しくありません。
現在では市場に出回る数が少なく、状態の良いものは年々希少性が高まっています。
「USA製タグ」というだけで惹かれる人が多いのは、単なる生産国の違いではなく、当時の空気感や物作りの背景が詰まっているから。
Fifty-Fifty

- 着心地の柔らかさ、色褪せ具合、軽さが魅力。
- キャラTや観光地Tシャツに多く、デザイン重視コレクターに人気。
- ポリエステル混なので、サイズ感が崩れにくい点も評価ポイント。
完全USA製(FABRIC & SEWN IN U.S.A)ほどのプレミアは付きませんが、同時代の生地感やシルエットはほぼ変わらず、90年代らしい厚みや風合いを持ったボディが魅力。
特に、シングルステッチ仕様や、バンド・企業ロゴなどの良デザインが入ったものはコレクター需要が高く、状態次第では高値で取引されます。
現行品のHanesと比べても、生地の質感や経年変化の味わいが別物で、90年代の空気感をそのまま着られる存在です。
「完全USA製」には及ばないものの、ヴィンテージ好きにとっては十分に価値ある一枚と言えます。
コレクター視点での魅力
- タグで年代が語れる:コットン100%か混紡か、製造国表記、ロゴデザインで年代推定が可能。
- 好みが分かれる:経年変化を楽しむならBEEFY-T、軽く着やすいのはFifty-Fifty。
- ストーリー性:タグを見て「この時代は縫製がジャマイカに移ってたんだな」と歴史を感じられる。
まとめ

HanesのヴィンテージTシャツは、同じ80〜90年代でも「BEEFY-T」と「Fifty-Fifty」で性格がまったく異なります。
タグの違いは単なるデザインの差ではなく、素材・用途・生産背景の記録そのもの。
古着を選ぶときは、デザインだけでなくタグに刻まれた歴史にも注目してみてください。
それは一枚のTシャツが辿ってきたヴィンテージ古着旅の証拠。